アクアリウム水槽にて大変人気がある
ヌマエビは、西日本から南西諸島の河川に生
息する淡水生のエビです。
水槽内を綺麗にしてくれる事から混泳飼育の
タンクメイトとして重宝されますが、その繁殖
法は独特で飼育下での繁殖は非常に難しく手間
と根気が必要です。
その為アクアリウム上級者の方でも失敗する事
が多い程難易度が高いですが、成功した時の喜
びは一際ですよ。
そこで今回ヌマエビの
- 野生下での繁殖の特徴
- 用意する物
- 繁殖法
- 注意点
などをご紹介します。
野生下での繁殖の特徴
ヌマエビは淡水生のエビで産卵も淡水域で行
いますが、孵化後の幼生は海に流されて海水
で成長します。
その後稚エビに成長した個体は川を遡り、淡水
域に戻って来ます。
日本産ヌマエビ属のヌマエビ、ヤマトヌマエビ、
ミナミヌマエビの3種の中で川と海を回遊する
のはヌマエビのみで、人工繁殖ではその様な環
境を作る必要があります。
用意する物
水槽
産卵から孵化までを行う水槽を用意します。
水質を安定させる為、60㎝程の大きさの水槽
を使用するといいでしょう。
水質の急変を防ぐ為、飼育水槽の水を使用します。
幼生育成容器
孵化後の幼生は海水で成長するので、孵化する
毎に海水の入った別容器に移す必要があります。
ろ過装置
産卵後の卵にカビが付着すると孵化しないので、
ろ過装置を設置して水質を管理します。
人工海水の素
幼生は海水で成長するので、市販の人工海水の
素を使用して海水を作ります。
水は飼育水槽の水を使用しましょう。
水草
バクテリアの住処となる、ウイローモス等を入れ
る事をおススメします。
水温計
あまり神経質に管理する必要はありませんが、
水温が20度を下回らない様にします。
スポイト
孵化した幼生を、海水の入った別容器に移す際
に使用します。幼生は非常に小さいので、スポ
イトですくって移していきます。
稚魚用餌
餌は稚魚用の粉末フードを使用します。
幼生から稚エビの間は餓死する個体が多いので、
多めに餌を与えます。
繁殖法
オスとメスを数匹飼育していると、いつの間
にか抱卵している事があります。
また繁殖期は3~10月でその中でも7~8月に
最も産卵をしますが、水槽にヒーターが付い
ている場合は冬でも繁殖可能です。
- 抱卵を確認した個体を2週間目ほどから産卵用
水槽に隔離します。 - 卵を放出したら親エビを飼育水槽に戻し、カビ
防止の為ろ過フィルターを作動させます。
水替えも毎日行いましょう。 - 放卵から数日後孵化し始めたら、スポイトで幼
生をすくい海水が入った水槽に入れます。
幼生は光に集まる習性があるので、ライトで照
らすと作業がスムーズです。 - 1日1回耳かき一杯程度の餌を与え、水底に沈ん
でしまった餌はかき混ぜて分散させてあげます。
水質が悪化しない様に毎日水槽の半分~7割程
度の水を変えますが、水温の変化に弱いので必
ず水温を合わせる事を忘れずに行いましょう。
- 孵化から約1ヶ月で稚エビに成長するので、そこ
から更に20日程かけて淡水に慣らしていきます。 - 毎日の水替えの際徐々に塩分濃度を低くしていき、
完全に淡水に慣れたら親エビの飼育水槽に移して
もいいでしょう。
ヌマエビの産卵シーン The shrimp spawning [HD]
注意点
それらでは海水を再現出来ず、繁殖は失敗してしまいます。
まとめ
- ✤ 野生下での繁殖は、川と海を両側回遊する。
- ✤ 抱卵した個体を隔離し、放卵後飼育水槽に戻す。
- ✤ 孵化した幼生は2~3日以内に海水水槽に移す。
- ✤ 毎日水槽の半分~7割程度の水を変える。
- ✤ 稚エビに成長したら、約20日かけて淡水に戻す。
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