「周りの人とうまくコミュニケーションが取れなくなった」、
「やる気が起きない」など、総合失調症は脳が上手く機能しなくなる、
100人に1人がかかる珍しくない病気です。
「総合失調症」は病院での治療が必要な病気ですが、
病気を周りの人に隠している人が多く
患者の2人に1人しか受診していないと言われています。
「総合失調症」の治療には本人だけでなく、
家族や友人など周囲の協力が必要です。
総合失調症とは?
私たちには喜怒哀楽という感じる機能や、
物を考える機能があります。
感じることや考えることは
脳内の精神ネットワークによって機能していますが、
何らかの原因で精神ネットワークがうまく働かなくなり、
感情や思考をまとめあげることが出来なくなります。
この状態を「総合失調症」と言います。
※日本では2002年まで「精神分裂病」と言われていました。
患者によっては
特徴的な幻覚や妄想を発症するケースもあり、
患者の死亡率は
一般人口に比べて2~2.5倍ほど高くなっています。
精神疾患として「総合失調症」は
“深刻なもの”に位置付けられていますが、
◎医療機関(精神)で治療可能な病気です。
原因は1つではない
発症のメカニズムや根本的な原因は
未だ解明されていませんが、発症例から考えて
原因は1つではなく様々な原因が複雑に絡まって
発症すると考えられます。
絡み合うモデルとして、
脳のもろさとそこに加わるストレスで発症する
「ストレス・脆弱性モデル」が考えられます。
遺伝や脳の委縮などで脳がもろくなっているところに、
ストレスなどがかかり発症させてしまうという考え方です。
総合失調症の症状
「総合失調症」は多彩な精神機能の障害が見られ、
大きく「陽性症状」と「陰性症状」に分けられます。
陽性症状としては妄想や幻覚などがあげられ、
急性期に生じるものです。
思考の障害を診て自閉症と誤診されることも
たびたびあります。
急性期以降、
エネルギー低下から起きる症状を陰性症状と言い、
主に消耗器に生じます。
感情的アパシー(通常のヒトであれば
何らかの感情がわく対象に対して、感情がわかなくなった状態。
鬱病の主要な症状。)、活動低下、会話の鈍化、
さらに社会的引きこもりや自傷行為などがあげられます。
セルフチェック方法
- 周りに誰もいないのに声が聞こえる
- 感情が不安定だと感じ、些細なことでも興奮、
もしくは異常なほど落ち込んでしまう - 意欲や気力がなくなり引きこもりがちになった
このような症状が見られると感じた場合、
「総合失調症」の可能性があります。
少しでも疑いがある場合には、
医療機関を受診することが大切です。
医療機関において診断のベースは
本人と家族への問診になります。
総合失調症の診断には
WHOの国際疾病分類である「ICD-10」と、
米国精神医学会の「DSM-IV」の2つによる診断基準
があります。
薬物療法と心理療法
「総合失調症」の基本治療は薬物療法です。
色々な症状は脳の神経伝達物質の機能異常によって
現れることは明らかにされていることから、
薬物療法は主に抗精神病薬を使用し、
脳の機能異常を調節して症状を抑えるために用いられます。
また薬物療法に併せて本人や家族への
心理社会的療法も行うことで、予後が良好になります。
ある研究によると、
薬物療法と心理療法を併せて治療した場合の再発率は8%、
薬物療法のみの治療を行ったときの再発率
約30%に比べて著しく低くなりました。