手のひらサイズの飼育しやすいペットとして
人気のハムスターですが、体が小さい為病気
なになると重症化しやすく致命傷になる事も
少なくない動物です。
またハムスターを診る事が出来る病院や治療
法も少ない為、早期発見や予防が何よ
りも重要になってきます。
そこで今回ハムスターの
- 主な病気
- 治療法
- 予防
- 日々の観察が重要な理由
- 健康チェック
- 注意点
などをご紹介します。
主な病気
⇒ 目の疾患
病名:角膜炎、結膜炎、白内障、結膜膿瘍、
眼球突出、麦粒腫
症状:目ヤニ、涙、充血、眼瞼の腫れ、目の
変色、眼球が飛び出す、眼瞼の膿瘍
原因:不衛生な飼育環境での細菌・ウイルス
感染や目のケガ、アンモニア臭の刺激等で発
症します。
比較的目視で発見しやすい病気ですが、治療
が遅れると失明する恐れがあるので早急に病
院を受診しましょう。
⇒ 耳の疾患
病名:外耳炎、中耳炎、内耳炎、斜頚
原因:ケガや不衛生な飼育環境での細菌・カ
ビ・ダニ感染が考えられます。
外耳炎・中耳炎・内耳炎・傾斜の順に症状が
悪化し、傾斜まで進行すると外科的治療は難
しくなります。
風邪や鼻・目の疾患から発症する事もあるの
で、注意深く観察しましょう。
⇒ 口の疾患
病名:不正咬合、過長歯、頬袋脱
症状:歯の変形、出血、食欲不振、体重減少、
口から頬袋が飛び出る
原因:先天性の場合もありますが、最大の発症
原因は不適切な飼育グッズの使用です。
金網ゲージでの飼育や高低差のあるゲージ内、
ハムスターに合わない餌や床材の使用などが
考えられます。
症状が進むと伸びすぎた歯が皮膚を突き破り鼻
等から貫通して出てくる事もあり、一度発症す
るとその後も繰り返すので、定期的に病院を受
診する必要があります。
⇒ 呼吸器の疾患
病名:肺炎、肺水腫、鼻炎
症状:目ヤニ、鼻水、呼吸音の異常、体全体で
呼吸をする、元気がなくなる、食欲不振、くしゃみ
原因:ストレスや不衛生な飼育環境での細菌感
染、アレルギー等が考えられる他、他の病気の
合併症の場合もあります。
液状の鼻水はアレルギー、膿状の鼻水は細菌感
染の疑いが強く、呼吸器の疾患は治療が難しい
為命に関わる事が殆どです。
ハムスターは口呼吸が出来ないので、鼻から異
常な呼吸音が出ていたら上手く呼吸出来ていな
いというサインです。
この時点で症状はかなり悪化していると考えられ
るので、一刻も早く病院を受診します。
⇒ 皮膚の疾患
病名:アレルギー性皮膚炎、ニキビダニ症、細
菌性皮膚炎、皮膚真菌症、脱毛
症状:脱毛、発疹、湿疹、炎症、フケ、痒み、
原因:ストレスやアレルギー、不衛生な飼育環
境、免疫力低下などが発症原因として考えられ
ます。
強い痒みを伴う事もあり、それがさらにストレ
スとなるという悪循環に陥る前に病院を受診し
ましょう。
また皮膚の疾患の中には
人間に感染する人獣共通感染症もあるので、ハム
スターをお世話した後は必ず手を洗います。
⇒ 泌尿器系の疾患
病名:膀胱炎、尿路結石、腎疾患
症状:血尿、頻尿、尿の量が減る、お腹が膨れる、
食欲不振
原因:細菌感染やカルシウム・たんぱく質の摂
り過ぎ、高齢等が考えられます。
泌尿器系の疾患は再発率が高く、細菌が他の臓
器に感染して死に至る事もある怖い病気です。
床材やトイレ砂の色によって発見が遅れる事が
あるので注意しましょう。
⇒ 生殖器の疾患
病名:子宮内膜炎、子宮蓄膿症、膣脱、精巣炎
症状:生殖器からの出血、生殖器付近の脱毛、
お腹の膨れ、生殖器から膣が飛び出る、精巣の腫れ
原因:細菌感染やホルモンバランスの崩れ、免
疫力低下、高齢等が考えられます。
再発率が高く場合によっては開腹手術になる事
がありますが、ハムスターは術後の経過が悪い
為リスクを伴います。
高齢のメスは高い確率で生殖器の病気にかかる
ので、1歳半を過ぎたメスは繁殖をさせないと
いう事も一つの予防法です。
⇒ その他内臓疾患
病名:心疾患、心不全、腹水腫、肝臓疾患、糖尿病
症状:食欲不振、体重減少、脱毛、呼吸音の異常、
元気がなくなる、多飲多尿、黄疸、呼吸困難
原因:遺伝や細菌感染、食生活乱れ、高齢、他
の病気の合併症等が考えられます。これら全て
の病気は完治が難しく、場合によっては飼育者
が症状に気づいてから数時間で病状が悪化する
事もあります。
呼吸困難に陥った場合は酸素吸入措置が必要なの
で、早急に病院に連れていきます。
治療法
治療法は主に投薬治療や外科手術になりますが、
体が小さい為手術が難しく麻酔の時点でショック
死してしまう事が多いです。
また寿命が短い為高齢化が早く、1歳半を超えた
個体は手術のリスクが高くなる為治療を断られ
てしまう事もあります。
病状が軽度の場合は投薬や飼育法・環境の指導
等で改善する事も多いので、少しでも異変を感
じたら病院を受診する事が重要です。
ハムスターと飲み薬
予防
適切な飼育環境
運動不足やケガを防ぐ為、飼育ゲージは出来る
だけ大きい水槽タイプを選びます。
上下の運動も苦手なのでゲージ内に高低差は付
けず、クッションの役割もある床材は多めに敷
きます。
床材の種類によってはアレルギーをおこす事も
あるので、個体に合った物を選びましょう。
温度、湿度管理
ハムスターは湿気や寒さに弱く飼育適温は20~
25度、湿度は45~55%が最適と言われている
ので、エアコンや冷暖房器具を利用して管理し
ます。
また気温の変化にも弱いので、出来るだけ一定
の温度を常に維持するようにしましょう。
飼育環境は清潔に
不衛生な飼育環境は様々な菌を繁殖させ、確実
にハムスターを病へと導くので常に清潔にして
おく必要があります。
水や食べ残しは傷みやすいので毎日取り換え、
巣箱やゲージの隅に溜め込んだ餌も取り除き
ます。
しかし餌の量が十分でないと頬袋に餌を溜め
込む習性があるので、餌場にはしっかり餌を
補充しましょう。
また尿は決まった場所でしますが、便はゲージ
内の至る所でするので汚れた部分の床材は毎日
取り換えます。
ストレスを軽減
ストレスは万病の元なので、出来るだけ快適に
生活出来る様にしてあげます。
縄張り意識が強い為多頭飼育は避けゲージは静
かで落ち着いた場所に設置し、飼育者がかまい
過ぎるのも嫌がるのでコミュニケーションは個
体の様子を見て行います。
また夜行性の為日中起こす事はせず、夕方以降
にお世話をしましょう。
日々の観察が重要な理由
野生下のハムスターは捕食される側の弱者の為、
不調をギリギリまで隠すという特徴があります。
被捕食動物にとって弱みを見せる事は死に繋が
る為、飼育者が気付いた時には末期状態になっ
ている事も少なくなく、ハムスターの急死は良
くある事なのです。
また初心者には体調の変化を見つける事は難し
く病院でも有効な検査が少ないのが現状ですが、
小動物は病気の治療が難しく小さな病気でも命
に関わる事が多いのです。
その為日々の観察を習慣化し少しでも異変を感
じたら直ぐに治療に取り掛かれる状態にする必
要があります。
健康チェック
ハムスターは不調を隠す習性がある為中々病気に
気づきにくいですが、健康チェックを習慣化する
とわずかな異変にも気が付く事があります。
日常的に
- 毛並みの色艶
- 耳周り、鼻周りの汚れ
- 目の汚れ、輝き
- 爪や歯の状態
- 尻尾の湿り気
等を確認し健康時の状態を覚えておきましょう。
注意点
ハムスターの様な小動物を診察出来る病院は非常に少ないのが現状です。
病気になってから病院を探すのは遅いので、事前にかかりつけ医を見つけておきましょう。
ハムスターは病気の症状が現れた時点で、既にかなり病状が進行している事が多いです。
絶対に様子を見る様な事はせず、早急に病院を受診します。
まとめ
- ✤ 体が小さい手術が難しく、治療が出来ない事がある。
- ✤ 適切な飼育環境でストレスを出来るだけ軽減し。
病気を予防する。 - ✤ ハムスターは不調を隠す動物なので、日々の健康
チェックを習慣にする。
ハムスターの特集記事