家庭菜園をしていると
毎年作物を収穫したい思いから、同じ場所・同
じ野菜(同じ科の野菜)を植え付けてしまう事が
あると思います。
その事を連作と言い、それが原因で病気にか
かったり、土の養分が不足し生育不良になる
事を連作障害と言います。
前はなんの問題もなく栽培出来ていたのに
今年は収穫量が減った、というのは連作障害
をおこしているのかもしれません。
そこで今回連作障害について
- 連作障害の原因
- 連作障害をおこしやすい野菜、
おこしにくい野菜 - 野菜の作付け間隔
- 連作障害の予防法
などをご紹介します。
連作障害の原因
病害虫の土壌感染
ネコブセンチュウのように土壌に寄生する
害虫や、うどんこ病、灰色カビ病、さび病、
黒斑病のようなカビ菌の病気が
前の年に栽培した作物に寄生していた場合、
土の中で生き残った害虫・菌が次に植える
作物に土壌感染してしまいます。
土壌の栄養不足
作物が必要とする栄養は種類ごとに異なる
ので、同じ場所に同じ作物を連作すると特
定の栄養分が不足し、バランスが崩れてし
まうので生育不良をおこしやすくなります。
有益微生物の減少
土壌中には様々な微生物が生息しており、
病気の元になる微生物の他、植物に有益な
働きをしてくれる微生物もいます。
それらは植物の根から分泌される糖やアミ
ノ酸を餌にしているのですが、同じ科の植
物は同じような物質を分泌するので、
微生物の種類が偏り有益微生物群のバラン
スが崩れる事により病気が発生しやすくな
ります。
連作障害をおこしやすい野菜・おこしにくい野菜
連作障害をおこしやすい野菜
科名 | 名称 |
---|---|
ナス科 | ナス・トマト・ピーマン・トウガラシ |
ウリ科 | きゅうり・スイカ・メロン |
マメ科 | エンドウ豆・サヤエンドウ・サヤインゲン |
アブラナ科 | ハクサイ・カリフラワー・キャベツ・ダイコン・カブ |
その他 | ナガイモ・レタス・ゴボウ・セロリ・パセリ・ショウガ・サトイモ・イチゴ |
連作障害をおこしにくい野菜
科名 | 名称 |
---|---|
アブラナ科 | ブロッコリー・コマツナ・トウナ・チンゲンサイ |
ユリ科 | ネギ・タマネギ・ニンニク・ラッキョウ・アサツキ |
その他 | ジャガイモ・カボチャ・ニンジン・ほうれん草・サツマイモ・オクラ・トウモロコシ |
野菜の作付け間隔
連作障害を避けるためには、同じ科の野菜を
植える時ある程度の間隔を空けなければなりません。
必要な期間 | 名称 |
---|---|
2~3年 | きゅうり・キャベツ・ダイコン・ハクサイ・レタス・セロリ・パセリ・イチゴ・サヤインゲン・カリフラワー・カブ |
4~5年 | トマト・ピーマン・トウガラシ・メロン・ナガイモ・サトイモ・ショウガ |
6~7年 | ナス・スイカ・エンドウ豆・ゴボウ |
連作障害の予防法
・輪作
同じ場所に同じ科の野菜を続けて植えつける
と連作になるので、異なる科の野菜を順番に
栽培していきます。
これを「輪作」と言い、そうする事で土の中
の栄養・微生物が偏らず土の状態が悪くなる
のを防ぎます。
・コンパニオンプランツ
作物の中には近くに植えると病害虫の発生を
防いだり、株間に混合栽培すると生育が良く
なったりとお互いに相性の良い作物があります。
これをコンパニオンプランツ(共生植物)と言
い、収穫量の増加や品質の向上などの効果も
期待出来ます。
ただし
コンパニオンプランツの逆で、互いに生育が
悪くなるという相性の悪い組み合わせもある
ので注意しましょう。
・土壌消毒
土壌感染する病害虫が発生した場合は土壌消
毒をします。
専用の薬剤で消毒する方法もありますが有益
微生物まで死んでしまう恐れもあるので、
安全かつ低コストな太陽熱を利用して消毒す
る方法をおススメします。
- 収穫後株を抜き、枯葉・枯花などを取り除
いて綺麗にします。 - 土を出来るだけ深く耕し石灰窒素、堆肥を
十分に混ぜこみます。 - 熱伝導をあげるため、下層に十分行き渡る
ようにたっぷりと水やりをします。 - 透明のマルチシートを貼り約1ヶ月放置します。
太陽熱消毒のポイントなのが、45度以上の
高熱が8日間以上持続する事なので、梅雨明
けの真夏日に開始しましょう。
また消毒効果があるのは地表下20㎝程の深さ
までなので、植え付け時に畝を作る際深く土
を掘り返し過ぎると、消毒の効果が半減して
しまうので注意が必要です。
・有益微生物の維持
微生物の餌となる完熟堆肥などの有機物を土
壌に投入し、有益微生物の密度を高めます。
そうする事で多様な微生物が土壌中に共存し、
単一の病害虫だけが発生する状態を防げます。
KomaTube 第113回 太陽熱消毒
まとめ
- 同じ科の作物を同じ場所に連続して栽培
すると連作障害がおきる。 - ナス科、ウリ科の作物は特に連作障害を
おこしやすい。 - 連作障害を避けるためには、最大で7年
間作付け間隔を空ける。 - 異なる科の作物を順番に栽培する事で、
連作障害を予防出来る。 - 太陽熱を利用して土壌感染する事で病害
虫を消毒する。