裕福な家庭じゃないから雛人形は買えないけれど、
子を想う母の気持ちは一緒
という想いから生まれた「つるし雛」。
吊られた細工物には
母が娘を想う気持ちがふんだんにこめられ、
一針一針丁寧に作られています。
細工物をいくつ飾るか、
どこに飾るか、そんなルールはなく
手軽に作り始められるつるし雛。
まずは人気の細工物から、
我が子のために想いをこめて作ってみませんか?
つるし雛とは?
つるし雛の風習は全国でも珍しく、
静岡県では「雛のつるし飾り」、
福岡県では「さげもん」、
山形県では「傘福」と呼ばれ、
この3つの地域が全国三大つるし飾りと言われています。
※どの地域でも起源は江戸時代末期と考えられています。
江戸時代、雛人形は
とても高価で裕福な家でしか持つことができませんでした。
それでも子どもの幸せを願う気持ちを形にしたいと、
子どものお母さんやお祖母ちゃん、
他にも親戚や近所の人が
雛人形などを模した細工物を作って持ち寄り、
それを繋げて吊るしたことがつるし雛の由来と言われています。
つるし雛は
いわゆる赤ちゃんの大事なお守りなのです。
吊るし雛には全体として「衣食住に困らないように」
という願いが込められています。
そのため吊るされる細工物には
人形だけではなく動物や花、
衣服や遊び道具、
さらに野菜などいろいろなものがあります。
つるし雛の作り方
つるし雛には様々な細工物があり、
その全てに意味があります。
人形と一言で言っても、“はいはい”をたくさんして
元気に丈夫に育つようにという思いのこもった
「這い子人形」、幸せな将来を願った「おくるみ人形」、
将来家柄のいいところに嫁いで幸せになって欲しいという
「おかたごろ」などがあります。
動物も子孫繁栄を願った「猪」、
女の子への祝いなので可憐に愛らしく育って欲しい
という思いを込めた「蝶」、
芯のある優しい人になって欲しいという思いから「兎」
などがあります。
衣服や遊び道具は女の子独特の物、
4枚の布を合わせて作ることから幸せにつなげた「お手玉」や
丸くて弾むことから心豊かな生活を願う
「毬・手毬」が多くあります。
野菜、植物も他と同様に子どもの幸せを願ったものが
ふんだんに揃えられています。
これらのどれを作り、飾るかのルールは特にありません。
飾り方にもルールはなく、設置場所もどこでも構いません。
大切なのは子どもの幸せを願う人が
その手で作ったことなのかもしれません。
型紙の入手方法
つるし雛については本が何冊も発売されており、
その中に型紙が付いているものがあります。
さらにホームページやブログなどで
無料もしくは有料で型紙を配布しているものもあります。
本では日本ヴォーグ社から発売されている
「つるし飾りの基礎」(井上重義・著)がおすすめです。
花や動物など
小さなちりめん細工をつないだ人気のつるし飾りの作り方の
基礎が分かる型紙付きの教本で、
椿や桜、うさぎ、おさるっこなど人気の細工物、
20モチーフを1点ずつ写真で詳しく解説してあります。
著者の井上氏は日本玩具博物館館長を務めています。