昭和の終わり頃。
中曽根康弘が総理大臣の任期中に
「日本人は単一民族である」
と演説で発言したことを覚えている人はいますでしょうか?
この発言からアイヌ民族について
考えるきっかけになった人もいるのではないでしょうか?
私は叔父がアイヌの研究をしていたため、
浅い知識ではありますが、昔から興味をもって見ていた話題です。
日本は差別のない国だと思っていませんか?
でも残念ながら日本にも少数派はいて、
長い歴史の中では差別も受けてきました。
同じ日本人として何も知らないのは恥ずかしいことです。
彼らがどのように生きてきたのかを知ってみませんか?
アイヌ人とは?
アイヌ人と呼ばれていますが、
彼らは東北や北海道に定住していた縄文人が
独自の文化を築いていった民族と考える方が正しいようです。
7世紀頃、本州では農耕文化に移っていきますが、
動物などが豊富な北海道ではまだ狩猟文化が継続されていました。
13世紀頃には海を渡って本州の方とも交易があったようです。
北海道が海で離れた大陸だったため
独自の文化も発展しやすい環境にありました。
どの様な差別がされているの?
本州との交易を盛んに行っていたアイヌですが、
徐々にその交易の条件はアイヌに不利なものになります。
不利な条件を決定づけたのは、
アイヌが蜂起をし、負けてしまったシャクシャインの戦いの後からでした。
明治時代にはいると開拓が本格的に開始されます。
屯田兵などが北海道を開拓していき、
和人人口が増加していったのです。
アイヌは平民として戸籍制度に組み入れられますが、
一般的な日本人を和人と呼ぶのに対して
アイヌと土人と呼び、彼らの文化を否定し、差別していくのです。
もともと保有していた農地も取り上げられ、
移住が余儀なくされます。
困窮の道をたどるアイヌでした。
この時期にようやく
北海道旧土人保護法と言うものが施行され、
アイヌにも土地が与えられることになりますが、
すでに良い土地は和人が占領しており、
アイヌの人たちに残された土地は貧しいものばかりだったのです。
今まで生きてきた文化も、土地も、
尊厳すら奪ってしまう差別は日本でも行われていたのです。
差別される理由とは?
差別される理由は、ただ独自の文化を持っていたからでした。
和人とは異なる宗教を信仰し、建築様式、言語、
民族衣装が違う民族を排除しようとしたのが差別の理由です。
もとは同じ縄文人なのに、自分たちと違うという点で
差別がおこってしまうというのは悲しいことですね。
現代も差別が残っているのか?
平成18年に北海道が行ったアイヌの人々への調査としては
かつて差別を受けたことがあるかという質問に
16.8%の人が「はい」と答え、
誰かが差別を受けているのを知っていると答えた人は
19.8%だというものがあります。
このようにアイヌへの差別はいまだに無くならないようです。
またこのような差別を避けるために、
アイヌの人々はそれ以外の人々と結婚し、
アイヌを隠してしまう人が多いようです。
長く続いた差別によって
アイヌ文化が保護できない状況にあるのも悲しい事ですね。
どこか差別と言うとほかの国のことと思っていませんか?
実は私たち日本人にも差別の歴史は存在するのです。
自分と違うからと言う理由で差別することは
本当に恐ろしい考えです。
私たちはもっとこの問題について
理解しないといけないのかもしれませんね。
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