リンゴやナシと同じくバラ科植物の多年草
であるいちごは、18世紀にオランダで交配
されたものが素となり、江戸時代末期に日
本に持ち込まれました。
その甘酸っぱさ、みずみずしさは子供から
大人まで大人気の果物ですが、栄養価も高
くビタミン・ミネラルを豊富に含む他、食
物繊維、葉酸、キシリトールも含まれてい
るんです。
また、生の果実をそのまま食べられるのは
もちろんですが、お菓子やジャム、ケーキ
など加熱調理しても主役級の美味しさを楽
しめます。
今回そんないちごの
- 植え付け
- 水やり、肥料
- 剪定
- 授粉
- 収穫
- 増やし方
- 注意する病気や害虫
などをご紹介します。
植え付け
地植え
[用意する物]
- 苗
- 苦土石灰
- 腐葉土
- 堆肥
- 有機配合肥料
いちごの苗植え適期である9月~10月頃、
植え付けの3週間前から土作りを始めます。
土を良く耕し苦土石灰を混ぜこんで2週間
寝かせ、堆肥と有機配合肥料を混ぜて幅60
㎝、高さ20㎝程の畝を作り、さらに1週間
寝かせます。
土作りが完了したら株間30㎝空け植えつけ
ますがこの時、株元の葉の付け根にあるギ
ザギザの部分(クラウンと呼ばれる部分)が
土に隠れないように浅植えにします。
植え付けが済んだらたっぷりと水やりをし、
マルチシートや敷き藁で株元の土を覆って
おきましょう。
プランター植え
[用意する物]
- 苗
- 60㎝以上のプランター又はベリーポット
- いちご専用培養土又は実もの野菜用培養土
- 鉢底石又は軽石
苗植えの適期である9月~10月頃、プラン
ターに鉢底石又は軽石を敷き、市販のいち
ご専用培養土を入れます。
- 苗より少し大きめの穴を空け、根元が崩
れないように丁寧に植えつけます。 - 株元のクラウンが隠れない程度に浅植え
したらたっぷりと水やりをし、日当たり
の良い場所で管理しましょう。
イチゴの育て方
水やり・肥料
水やり
いちごは乾燥に弱いので、土の表面が乾いた
らたっぷりと水やりをします。
鉢植えの場合は土が乾く前に水やりを繰り返
すと、すぐに根腐れをおこしてしまうので、
しっかり土の状態を確認してから水やりをし
ましょう。
また、過度に乾燥させすぎると根が枯れてし
まいますが、少し乾かし気味に育てると実の
糖度が上がります。
肥料
植え付けから1ヶ月程経ったら化成肥料又は
市販の野菜用肥料か、いちご専用肥料を追肥
します。
次に2月下旬~3月上旬に同様の肥料を追肥
します。開花後薄めた液体肥料を週に1回与
えると甘い実が付きますよ。
剪定
適葉
いちごは秋に植え付け、冬になると成長が
とまり休眠状態になります。
この時枯れた葉や変色して弱った葉を摘み
取っておきましょう。そうする事で病害虫
の予防や、新しい葉の成長を促す事が出来
ます。
ランナー摘み
気温が温かくなるとランナーと呼ばれるツル
がどんどん伸びてきます。
収穫前と収穫中に伸びるランナーを全て摘み
取る事で、株に栄養を蓄え実を大きく育てる
事が出来ます。
摘花
いちごは寒さに強い植物ですが、花や蕾は霜
にあたると傷んでしまい実が付かなくなって
しまいます。
傷んだ所は病原菌の住処になりますので3月
中旬頃までに咲いた花は摘みとります。
きちんと摘花をする事で、収穫量を増やす事
も出来ますよ。
授粉
4月に入ると花が咲き始め、通常昆虫などに
よって受粉が行われるのですが、確実に収穫
するためには人の手によって人口授粉させる
必要があります。
ブラシや耳かきで雄蕊と雌蕊を優しくこすり
受粉させます。上手く受粉が行われなかった
実は奇形果となるので、早めに取り除きましょう。
収穫
5月中旬頃、へた近くまで赤く熟したらハサ
ミで切り取り収穫します。日中気温が上がる
と実が痛みやすくなるので、午前中の涼しい
時間帯に収穫しましょう。
赤くなった実は鳥に狙われやすいので防鳥
ネット・防虫ネットを張り、対策します。
増やし方
収穫期ごろに伸びてくるランナーから子株
を育て、株分けする事によって増やす事が
出来ます。
- 親株から伸びてきた生育の良いランナー
を培養土の入ったポットに置き、針金や
Uピンで固定します。 - 1日2回程水やりをすると10~15日程で
根付くので、子株にランナーを2~3㎝残
しハサミで親株と切り離します。 - こうする事で次に植え付けられる苗にな
るので、植え付け適期がくるまでポット
で育てましょう。
注意する病気や害虫
病気
・うどんこ病
5月~7月、9月~10月に発生しやすく胞子が
風で運ばれ空気感染します。
葉に白い斑点が出来初め、次第に葉全体がう
どん粉をまぶしたようなカビに覆われて光合
成を阻害します。
自然治癒する病気ですが、症状が進むと自然
治癒は難しくなり、発症した部分は回復しません。
病斑が出た部分は切り取り処分し、被害拡大
を防ぎましょう。
・灰色かび病
4月~7月、10~11月に発生しやすく、1度
感染すると治療法がない厄介な病気です。
葉や茎、花、蕾、果実などあらゆる部分に
発生し、水が染みたような模様が出来、や
がて植物全体が灰色のカビに覆われて枯れ
てしまいます。
病斑が出た部分は回復しないので、切り取
り処分し、薬剤を散布し蔓延を防ぎます。
発見が遅れ、病斑が全体に出た場合は株ご
と抜き取り処分します。
また、土壌感染する恐れもあるためプラン
ター栽培の場合は新しい土に入れ替え、地
植えの場合は土壌消毒をして殺菌しましょう。
害虫
・アブラムシ
4月~6月、9月~10月に発生しやすく、ほと
んどすべての植物の天敵となる害虫です。
体長2~4mm程度の小さな虫ですが、繁殖力
が非常に強く毎日卵を産み、卵から10日程で
成虫になりまた卵を産むという繰り返し、い
つの間にか大量発生する事もあります。
アブラムシは群れで植物の栄養を吸い取り生
育を阻害する他、他の厄介な病気やウイルス
を媒介する事もあります。
見つけ次第ガムテープなどでくっつけて捕殺
し、大量発生した場合は薬剤を散布し駆除し
ましょう。
・ハダニ
体長0.3~0.5mm程度の小さな昆虫で、主に
葉裏に寄生し植物を食害します。
交尾の有無に関わらず産卵するという特殊な
生態を持つことから、短期間で大量発生する
事があり、被害が拡大すると植物を枯らして
しまう事もあります。
見つけ次第ガムテープなどでくっつけて捕殺
し、大量発生した場合は薬剤を散布し駆除し
ましょう。
まとめ
✽ 9月~10月頃、クラウンと呼ばれる部分
が土に隠れないように浅植えする。
✽ いちごは乾燥に弱いので、土の表面が乾
いたらたっぷりと水やりをする。
✽ 植え付け1か月後、2月下旬~3月上旬、
開花後にそれぞれ追肥する。
✽ 休眠中に摘葉・摘花し、収穫前・収穫中
にランナー摘みをする。
✽ 花が咲き始めたら人口授粉させる。
✽ 午前中の涼しい時間帯に、へた近くまで
赤く熟した実を収穫する。
✽ ランナーから子株を育て、株分けで増やす。